組織の要‼中間管理職向けのTeams活用法 第2回~組織でビジネスチャットを利用するメリット~

    こんにちは、株式会社 Funkitの高田です。

    今回は『組織でビジネスチャットを利用するメリット』について考察していきたいと思います。

    ■Teamsに期待できる効果とは何か

    Teamsのような『ビジネスチャット』を有効活用するには、その特性を十分に理解する必要があります。

    『ビジネスチャット』とよく対比される社内コミュニケーション手段は『対面や電話での会話』です。

    今回は中間管理職のコミュニケーションを『対面や電話での会話』から『ビジネスチャット』に置き換える効果について考察します。

    ■情報拡散力の強化 

    1対多のコミュニケーションが求められる機会が多くなりがちな中間管理職にとって、『コミュニケーションにかける時間を圧縮しつつ、コミュニケーションの品質を高める』ことが重要です。

    ではこの一見無理難題に思える目標はどのように達成できるか考えてみましょう。

    例えば、チームメンバーから仕事の進め方について相談を受けた場合の回答で
    「これはチームの全員に共通して伝えたいことだな」
    ということは割とよくある事です。

    このような時に質問・回答内容をチャットに残しておくことで、他のメンバーにも素早く情報共有することができ、似たような相談を受けることを防止することができます。 

    上記と同じことを対面コミュニケーションで実行する場合、『対象者に声をかけ、個別に伝えていく』という形になりますが、例えば1人あたり5分の時間をかけて10人に伝えると延べ50分の時間を浪費することとなり、明らかに非効率です。

    さらに、根拠データや説明画像などを添付してチャットに発言することで対面や電話での会話と比べてより精度の高い情報を共有することが可能です。文章化した情報は、参照リンクによる共有やコピー&ペーストによる他の対象者への伝達も容易です。

    情報を受け取る側としても必要に応じて読み返すことも可能ですので、聞き漏らしなどの理由で再度説明を求める必要もなくなります。

    このようにチャットは対象者が5人、10人…と増えるほど情報拡散力を生かした『時間の圧縮効果』が高まります。

    この特性を活用することで、1回の情報発信の品質を高めるためにある程度時間をかけても総合的にみれば先に挙げた目標の達成に近づけていると考えられるのではないでしょうか。

    一例として、弊社では従業員がジャンルを問わず自由にナレッジをシェアできるTeamsチャネルを用意しています。「〇〇さんはこういった事が得意なんだな。何かあった時は相談しよう」「Office 365にはこんなサービスもあるんだな。ぜひ使ってみよう」という気付きを得ることができ、有意義に活用されています。

    情報拡散例1対多の情報発信でコミュニケーション時間を圧縮しよう

    ■スキマ時間の有効活用 

    別事業所やテレワークなど離れた場所にいるメンバーとのコミュニケーションにチャットが有効であることは言うまでもありませんが、同じ場所にいるメンバーとのコミュニケーションでもチャットは有効です。

    なぜ対面で話せる相手ともチャットが有効になるのか、ここで少し“多忙な中間管理職(Aさん)がメンバー(Bさん)から相談を受ける場合のよくある光景”を考えてみましょう。

    ①BさんがAさんに相談を持ちかけますが、話の途中でAさんに電話がかかってきてしまいます。
    ②電話が終わるとAさんは「ごめん、外出する時間だから続きは帰社してから」と言って会社を後にしました。
    ③Aさんは移動中に時間があったのでBさんに電話をかけましたが、Bさんは会議中で出られませんでした。
    ④その後、Aさんに別件の急用が入ってしまい帰社できなくなり、結局Bさんの相談は翌日以降に持ち越されました。

    上記のような場合、はじめからチャットで行うか、Aさんが外出する時点でチャットに切り替えていれば、お互いのスキマ時間の中で効率よくコミュニケーションがとれたはずです。

    また、対面や電話での会話は相手に即時の対応を強制するため、相手の仕事を中断させ生産性を落とさせてしまうという弊害も生みがちです。

    TeamsはPC・スマホのどちらからでも同じ情報にアクセスして確認・返信ができるため、外出時を含めたスキマ時間を最大限に有効活用できます。

    近くにいる仕事仲間にあえてチャットで話しかけるということについて気恥ずかしいという方もいらっしゃるかもしれませんね。私も昔はそうでしたが、相手の都合の良い時間に返答を求める配慮でもある、という理解が深まることで自然とチャットのコミュニケーションにも馴染めると思います。

    ■プロセスの可視化

    同じ場所にいるメンバーにはついつい口頭で伝えてしまいがちなことにもチャットを使った方が『プロセスの可視化』という効果の期待ができます。

    口頭で物事を伝えるときは思いつきの発言も混じったり、他のことが気になり話題が変わってしまうといったことが起こりやすく、意図したことを伝えきることは実はかなり難しいものです。

    チャットであれば内容を書き出す過程で抜け漏れチェックや相手に伝わりやすい表現を工夫するなどの再検討ができるため、発信する情報の精度が向上します。

    受け取り側としても必要に応じて何度も見直すことができるため、会話を頭で覚えたりメモを取ったりする必要がなくなります。

    聞き漏らしや聞き返しの発生を抑えることができます。

    プロセスの可視化するために重要なことは下記の2つです。
    ①作業に取り掛かる前に仕事の進め方や完了までのプロセスを書き出して双方で認識合わせを行う。
    ②進捗状況の報告等もチャットの履歴として残す。

    このたった2つを徹底するだけでも第三者から見て順調に進んでいるか・支援が必要かという状況把握がしやすくなり、チーム内で連携が取りやすくなります。

    毎日の仕事の状況と明日の予定を日報で提出するというような運用も、仕事のプロセスが常に可視化されていれば不要となり、無駄な残業時間の削減にもつながるのではないでしょうか。

    ■透明性や公平性の向上

    『ビジネスチャット』とは企業が管理するコミュニケーションの場であり、各自の発言内容はシステムログとして証跡が残ります。

    Teamsであれば、セキュリティ・コンプライアンスの問題や懸念が生じた際に情報セキュリティ・コンプライアンス担当者が内容を確認し、企業として適切な対応を取ることが可能です。※運用要件により、対応したOffice 365等のライセンスが必要です。

    さらに、チーム向けの発言であればチャットを目にするメンバー全員が証人となるため、透明性や公平性を担保しやすいと考えることができます。

    ここで2つの例を考えてみましょう。

    例1『とある営業部長が取引先への提案において値引きの指示を出す』

    〇部下を呼び出して『口頭』で指示を出す場合
    証跡を残さない形での意思決定となるため、仮に合理的な理由からの値引き指示であったとしても、それをよく思わない人がいた場合「〇〇部長の指示で値引きを行ったが、何らかの忖度があったのかも」というような憶測が混じった不確かな噂が飛び交い、それが原因で仲間内で不信感を招くなどの社員のエンゲージメントやモチベーションが低下してしまうということにもなりかねません。

    〇チーム全員が見ている『チャット内』で指示を出す場合
    値引きの合理的な理由など、発言者の意図を複数人の関係者にそのまま伝えることができます。発言者の情報がそのまま拡散されるため、伝言ゲームのように内容が劣化したり憶測が含まれることも防止できます。加えて質疑応答に応じるなど合意形成のプロセスを可視化することができます。そのためチームの納得感が得られ、社員のエンゲージメントやモチベーションの向上にも繋がります。

    例2『パワハラ/セクハラ』の発生の予防

    これらの問題は仮に『当人にそういった意図がなかったとしても相手がそう感じること』による『当事者同士のとらえ方』の違いによって発生することが多々あります。

    特に上司が部下を呼びだして個別に指示や指導を行った際に、そのような意図はなかったとしても『パワハラ/セクハラと指摘を受けた』という事態が起こってしまう場合や、当人である部下にとっては問題と感じない場合でも周囲の目からすると「〇〇さんだけ特別扱いしているのではないか」などと評される場合もあります。

    上司からしても部下に対して良かれと思って対面で接することも多いと思います。しかし、人間である以上はつい言いすぎてしまうこともあるでしょう。

    そんな時チャットという企業の監視下に置かれた場で指示を出すことで、自身の発言に対する責任を可視化することとなり、『セクハラ/パワハラに該当しないか』をチームで見直すことができ、失言等があった場合でも早期発見による訂正や周囲のケアによる問題化の予防もしやすくなります。

    重要!!

    企業による監視・監査の運用は、その目的と取り組み内容を社員全員に説明し、理解を得て初めて効果を発揮します。説明がない状態で監視・監査の運用をすると逆に企業に対する不信感を抱く原因にもなりかねません。

    社員に安心して社内システムを活用してもらうためにも分かりやすいガイドラインを作成し、説明会やeラーニングでしっかりと周知することをお勧めします。

    監視・監査の運用については内容により就業規則や社内規定等に明記した方が良い場合もあるでしょう。

    ■まとめ

    いかがでしょうか。

    本記事が『ビジネスチャット』の導入や活用推進のきっかけ・参考になりましたら幸いです。

    『ビジネスチャット』というツールの特徴を正しく理解することで、導入効果に対する期待値をより高く持つことができます。

    『リモートワークに対応するため』というような漠然とした導入の仕方をしてしまうと導入効果は意外とすぐに頭打ちになってしまいます。

    導入にあたってはビジネス環境に適した社内コミュニケーションの在り方を見直し、ガイドラインを策定し、社員内の教育・勉強会を実施するなどの取り組みを経ることで各自がチャットツールの導入効果を正しく理解できるよう努めましょう。

    ■次回予告

    次回は、コミュニケーションにかける時間の圧縮に効く『ビジネスチャット』の『情報拡散力』についてもう少し掘り下げて考察する予定です。

    お楽しみに!

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