組織の要‼中間管理職向けのTeams活用法 第4回~ストック情報・フロー情報の違いを意識して情報共有の場を設計しよう~
こんにちは、株式会社 Funkitの高田です。
連載第3回までの記事では、ビジネスチャットの導入効果や強みをお伝えすることができたと思います。
今回は組織内の情報共有における考え方の1つである『ストック情報』『フロー情報』について考察してみたいと思います。
■ストック情報・フロー情報に着目しよう
ストック情報とは、『蓄積される』情報であり、データベースやポータルサイト、ファイルサーバー上に展開される情報がこれに該当します。
また、フロー情報とは、『流れていく』情報であり、Teamsなどビジネスチャット上で交わされる情報のほとんどがこれに該当します。
それぞれの特徴をまとめると次のようになります。
ストック情報 | フロー情報 | |
情報の例 | ・会計情報 ・契約情報 ・業務マニュアル ・業務知識 ・各種ひな形 | ・ニュース ・メール ・お知らせ ・広告 ・報告、連絡、相談 ・ディスカッション |
情報が発信・蓄積される場所 | ・データベース ・ポータルサイト ・ファイルサーバー ・ブログ ・紙媒体 | ・チャット ・メール ・SNS ・直接のやりとり |
速報性 | 低い | 高い |
拡散性 | 低い | 高い |
確実性 | 高い傾向にある(設計と運用次第) | 低いことがある(属人的) |
見つけやすさ | 見つけやすい | 見つけにくい |
再利用のしやすさ | 再利用しやすい | 再利用しにくい |
資産性 | 高い | 低い |
■ビジネスチャットに偏重することの危険性
近年の傾向としてはTeamsなどのビジネスチャットツールの利便性が向上し、日々の業務はほぼチャット上のデータ交換で済ませてしまう組織が増えています。
仕事を進める中でのフロー情報の取り扱いについては、ビジネスチャットに勝るツールはなかなか無いでしょう。
しかし、ビジネスチャット上で交わされるフロー情報は、『文脈やチームの空気感を知る』ということはできるが、『過去情報の活用』という面においては適しておらず、ビジネスチャットに偏重することは『資産性の高いストック情報』を蓄積できない危険が伴います。
ストック情報の蓄積が少ない組織は次のようなリスクを抱えることになります。
・新規参画者への体系的な業務情報の共有や業務の引継ぎが捗らない
・組織で管理する公式の最新情報が無く、全てにおいて属人的な運用になる
・ナレッジが個人にのみ蓄積し、組織レベルで活用・再利用ができない
■ストック情報が蓄積される情報共有設計を心掛けよう
ビジネスチャットのようなコミュニケーションツールはガイドラインや使い方マニュアル等があれば、後はユーザー同士で、ある程度は活用が広まり普及していくかもしれません。
しかし、ストック情報については『組織にとって資産価値の高いもの』、または『運営上必要なもの』という形で優先度を定め、担当者の業務フローとして落とし込まなければ蓄積されないものです。
例えば営業活動の結果を、成功/失敗の事例ナレッジとして蓄積し、後のサービス企画・開発にも活かそうと取り組みを推進しても、各自の裁量に任せていては実現できません。
蓄積したい情報のフォーマットや格納ルールを設計し、営業活動の業務フローに組み込むことで、活用可能なデータが蓄積されていくわけです。
■フロー情報の価値を高めるためのストック情報
ストック情報はフロー情報から参照され 、ストック情報とフロー情報は密接な関わりをもちます。
例えばビジネスチャット上で、営業が作成した提案書の良し悪しを検証する際の2つのケースを考えてみましょう。
例1.営業担当者のオリジナルでゼロから提案書を作成
営業担当者の『想いを理解する』ところから始まり、あらゆる方向に議論が発散するかもしれません。
『担当者の想い』というものはなかなか言語化が難しく、ビジネスチャット上で生産性が低くなりがちです。
当然、検証には多くの時間を必要となり、差し戻しとなった場合の作り直しのボリュームも相当なものでしょう。
例2.組織で管理されたひな形を元に、営業担当者がお客様に合わせてカスタマイズを行い提案書を作成
営業チームの共通認識・前提知識として提案書のひな形があるため、お客様に向けて最適であると判断したカスタマイズ部分に絞った検証ができ、認識合わせもスムーズに進むでしょう。
チームの生産性が上がり、余裕が出来た時間を営業活動結果のフィードバックに充てることでひな形の品質を高めることができ、好循環を生みやすくなります。
ストック情報は資産であり、蓄積しただけではビジネスに対する影響を持ちません。日々の業務でよく参照されるフロー情報を優先的にストック情報として管理することは『時間対効果の高い投資』となるでしょう。
■まとめ
いかがでしょうか。
私自身、1日を振り返ってみると「今日はTeamsのおかげで仕事が良く進んだなぁ」という日は沢山あります。
仕事の進捗に大きく貢献し、『仕事をした感』をもたらしてくれるビジネスチャットではありますが、ビジネスチャットに偏重しすぎることなく、大切なストック情報の存在も忘れずに組織の情報共有を設計していきましょう。
■次回予告
次回は、Teamsを含むOffice 365活用におけるストック情報・フロー情報の設計について簡単な具体例を紹介させていただく予定です。