組織の要‼中間管理職向けのTeams活用法 第3回~ビジネスチャットの情報拡散力を120%活かす為に理解すべきこと~
こんにちは、株式会社 Funkitの高田です。
今回はビジネスチャットの『情報拡散力』について掘り下げて考察していきたいと思います。
■今回のテーマ
連載第2回の記事では、『ビジネスチャット』を導入するメリットの1つである『情報拡散力の強化』を紹介しました。
・複数人に共通して伝えたいことを1回の投稿で拡散することが可能
・テキスト化されたチャットは読み返すことができ、聞き漏らしが無くなる
・社内ナレッジなど仕事の連携をスムーズにするための情報発信にも便利
今回はこの『情報拡散の強化』を実際の業務で実現するために考慮すべきことを、もう少し深堀してみたいと思います。
■プラス効果だけでなく、マイナス効果も考慮に入れておく
ビジネスチャットの情報拡散力は必ずしもプラスの効果だけではありません。導入によるマイナスの効果に対して先手を打つためにも以下のようなマイナス面を想定しておくといいでしょう。
・社内格差の発生
ビジネスチャットはとても強力なツールであり、うまく活用することで生産性を劇的に向上させることが可能です。一方で、うまく活用できないユーザーとの社内格差が大きく開いてしまう問題も発生する可能性があります。
特に、多くのメンバーとの接点を持つ中間管理職がコミュニケーションツールをうまく活用できていない場合、チーム単位での社会格差を生むことにもなりかねません。大きな社内格差はエンゲージメントの低下要因にもなります。
・通知地獄
組織でのビジネスチャットの活用が進むにつれ、より多くの情報が飛び交います。そのため、多くの『通知』の処理に悩まされるユーザーが増えるでしょう。ビジネスの主要ツールがメールであった時代、あらゆる連絡がメールでなされる『メール洪水』というキーワードがありました。
社内連絡をメールからビジネスチャットに移行することで、『メール洪水』は緩和されるかもしれませんが、ただ移行するだけでは『通知地獄』に置き換わるだけになってしまうかもしれません。
■『個ではなくチームで』活用する運用設計により社内格差を緩和
ビジネスチャットに限らず、業務用のツールを導入する際には『会社(組織)として、ユーザーにどのように活用してほしいか』を示すガイドラインが必要になります。
何のガイドラインも無い運用では完全にユーザー任せとなるため、個人・チーム間での活用レベルの差が生まれやすくなります。また、チーム視点での全体最適化推進の阻害要因となる、個人の裁量による部分最適化も多く発生してしまうかもしれません。
例えば、次のようなガイドラインを定めて展開することで、多くのユーザーが迷うことなく共通の目標をもってコミュニケーションツールを使い分け出来ることが期待できます。
項目例 | 内容例 |
ツール活用目標と期待する効果 | ・経営理念の体現に関すること ・生産性向上に関すること ・エンゲージメントの向上に関すること ・ダイバーシティや働き方改革の推進など会社の取り組みに関すること |
ツールの使い分けに関する推奨事項 | ・メール、チャット、電話、他、各ツールの推奨用途の定義 |
情報セキュリティに関する注意事項 | ・個人情報、機密情報等の適切な取り扱い方法 ・うっかりミスによる情報漏洩を防止するための知識 |
コミュニケーションルール | ・必要な協調性を保つための推奨事項 ・会議を効率化するためのルール |
弊社のTeams運用では、全メンバーが閲覧可能な場所にガイドラインを掲載することや、チーム毎の運用ルールを掲載することで、後から参加したメンバーも仕事がしやすくなるよう工夫しています。
■『見なくてもいい情報』を定義して通知地獄を回避する
LINEなど個人向けチャットサービスでは『未読無視・未読スルー』などが社会問題として取り上げられたことがあります。情報を受け取っているにも関わらず何のアクションも起こさなかったことを起因とし、いじめなどの個人トラブルへ発展した事例が多く報じられました。
このような出来事から、ビジネスチャットにおいても通知があったものは『なんとなくチェックしないと落ち着かない』という方も多いのではないでしょうか。しかし、届いた通知の内容が自身の業務に全く関係がないとしたら業務の生産性を低下させるだけになってしまいます。
組織には様々な職責があり、各々で見るべき情報が異なります。中間管理職は幅広く情報をチェックしなければならない方が多いでしょうし、専門職であれば自身が携わる業務に絞った能動的な情報収集にとどめ、仕事の中断が伴う『通知』は必要最低限に絞りたいと思うかもしれません。
そのようなときは、自身の業務に直接関係のないグループからはメンションがついていない場合は脱退可能とするなど、『見なくていい情報』をチーム内で定義しておくことで通知地獄を回避することができます。
Teamsでは個人設定により通知の発生頻度をコントロールすることも可能です。このような便利機能を活用するためには、『見るべき情報』『見なくてもいい情報』を各々が正しく判断できるようにチーム内の役割分担を確認し合うことも重要です。
■まとめ
いかがでしょうか。組織で効果的にビジネスチャットを活用していくためには、理想とする活用イメージから逆算した運用設計と展開準備、展開後の継続したサポート・プロモーションが必要です。
もちろん「まずは使ってみてから活用イメージを固めていく」というアプローチも間違いではないと思いますが、組織の目指すビジネスチャット活用方針をガイドラインとして定めておくことは強く推奨します。
■次回予告
次回は、Teamsとその他のOffice365サービスを適切に使い分けるための考え方のひとつとなる『フロー情報』『ストック情報』について考察します。
お楽しみに!